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2003年8月5日火曜日

レアル VS FC東京

何かと話題のレアル対FC東京戦、見ました。
テレビでですけど…
久々にテレビ観戦で眠気に襲われずに、楽しく見きりました。
最近、ホームページを更新するようなネタがないので、番外編としてこの試合を見て感じたことをちょっと(のつもりが長くなってしまいました…)書きたいと思います。

まず、ベッカムの扱いですが…ベッカム本人がどう思っているのか分かりませんが(実はまんざらでもないかもしれない)サッカーの実力よりも、そのルックス(ばかりでなく、嫁さんの存在や収入など)でのアイドル扱いが可哀想でなりません。
サッカー選手なのですから、サッカーの実力を評価してあげるべきだと思うのですが…
海外での報道がどうなっているのか分かりませんが、「レアル」の来日というよりも「ベッカム」の来日という扱いはいかがなものでしょうか?
硬派であるはずのニュース番組でさえ、「ベッカム初得点!」とか「ベッカム、ついに来日!」とか…
日本に本当のサッカー文化が根づくのには、まだまだ時間がかかると感ぜずにはいられません。
(このミーハーな所が今の日本の象徴なのでしょうけど)
私個人としては、ジダン(今回はケガで出場しませんでした)やロナウドの来日の方に興奮するんですけどね。

さて、試合の方はそれなりに楽しめました。
ともにシーズンを終えたばかりの両チームですが、レアルの方はリーグ戦が終わってから1ヶ月近くが経過しており、新監督になって間もないのに対し、FC東京の方はこの前の土曜日にJリーグの日程が終了したばかり。(しかも、16日からはセカンドステージ開幕)
石川などの数名が代表合宿に招集されている様ですが、コンディション的にはFC東京の方がトップコンディションに近いといえるでしょう。
実際、ロナウドなどはブクブクに太っていました…
もっとも、膝をケガしてから、あまり走り込みが出来ない(したくない?)との理由で、全盛期と比べると太めの体型で今シーズンを過ごした(スペインでは『妊婦』とか揶揄されていたようです)のですが、今日のロナウドは更にボリュームアップしてました。

立ち上がりは、雨で芝が濡れていてボールがスリッピーだったのと、コンディション不良からかレアルの方にイージーなパスミスが目立ちました。
(テレビの解説では、FC東京のプレスが機能していると言っていましたが、自分はレアルの自滅という感が強かったような気がしました)
しかし、前半も15分ほどが過ぎた辺りからは、グランドにも慣れたのかイージーミスが少なくなり(それでも何度かはあります、人間ですから)速いパス回しから次第にペースをつかんできました。

パスをつなぐといっても、(FC東京に限らず代表も含めて)日本のチームの場合は、ほとんどノープレッシャーの最終ラインでどうでもいいパスを回すだけ。
結局、前戦にボールを預けるのはアバウトなロングボール…じゃあ、パスを回す意味ナイじゃん!と思うのは私だけでしょうか?

レアルの凄い所は、高い位置でボールを回せる事です。
トップに当てて中盤に落としたボールをサイドへ展開したり、最終ラインで持っているボールをトップや中盤の選手を使って出し入れしたり…とにかく速いリズムでボールが動きます。
その結果、高い位置でフリーで前向きにボールを持つ時間が(一瞬ですが)でき、そこから多様なくずしのプレーが生まれてきます。
ジダンがいれば、トップ下のスペースでもうちょっと面白いことが出来たんじゃないかなとも思えただけに非常に残念でした。

高い位置(守備側から見ると自陣ゴールに近い位置)でのパスにはコース、スピードに非常に高い精度が要求されます。
立ち上がりにレアルがリズムをつかめなかったのは、この高い位置でのパス回しにちょっとした「ズレ」が目立っていたためだと思うのですが、テレビで解説者は「ボランチが一人だと良くないですね。二人になってからはリズムが出てきました。」と言っていました。
もっとも、自分は解説者の言うことに「そうかぁ?」と思う所からはいるので、本当にそうなのかもしれませんが、システムがどうとかではない様な気がします。

対してFC東京は…必死さは伝わってきましたけど、それだけでした。
ボールを持った選手を見ると、レアルの選手は落ち着いているのに、FC東京の選手達は何か余裕がなく、必死にドリブルしている感じでした。
もっとゆっくりやればいいのに…と、つばさの試合を見ていても思うことを、このレベルでも感じてしまうのでした。
くずしのイメージもなく、パスの精度に対するこだわりも低く(のではないかと思われる)まさにアバウトなプレーの連続でした。
しいていえば、サイドからのクロス(それもアバウト)で何とかしようというという感じでした。
まぁ、ケリーの個人技での局面打開というのもありましたが…
大人と子ども…そんな感じのする試合でした。

先程もチラッと書いたのですが、日本にはまだまだサッカー文化は根づいていないと痛感しました。
今日のFC東京をはじめとする日本人のゲーム運びというか、状況判断力は非常に幼い気がします。
だからこそ、組織的な戦術を好む指導者が多いのでしょうが、本当の意味で世界と渡り合うためには、アドリブ的な即興性が必要だと思います。
それは、「遊び」の中から生まれてくるもので、「規律」や「組織」という枠組みを重要視している中からは生まれにくい(全く生まれてこないというわけではないでしょうが)と思います。
だからこそ、子ども時代は「遊び」の感覚をもっと前面に押し出した方がよいと思うのですが、試合には勝たなければいけないのが、また日本の風潮でもあると思います。
もちろん、負けていい試合なんてあるわけないのですが、技術や判断力がない部分を戦術や組織で補うのは、大人の世界でならまだしも、子どものサッカーに必要なのかと思ってしまうのです。
技術や判断力の差で負けたのならば、潔く相手を認めるべきで、負けた原因をしっかり認識して努力すればいいのではないでしょうか?
「勝てば官軍」という言葉は、少年サッカーに当てはめてはいけないと私は思っています。
勝つために工夫をするのは良いことなのですが、それが大人からの「指導」という形で「組織」「約束事」を守らせる事に終始するのは、子どもの可能性を摘んでしまっていることにもなりかねないと思います。

大きな大会になればなるほど、子どもも大人も「勝利」を望む。
ごく当たり前の事ですが、大人はそこに子ども達の将来を見据えていないといけないと思います。
子ども達はひたすらに「勝つ」ということに執着して欲しいとは思いますし、勝つための工夫をして欲しいのですが…

海外の少年サッカーはどうなっているのでしょうか?
詳しくは知りませんが、「全日本少年サッカー大会」のような全国大会は、ほとんど無いと聞いています。
U-18(高校生)の年代でもあまり無いそうです。
もっとも、海外はクラブ単位での活動なので、日本のそれとは事情が異なると思いますが…

以前、セルジオ越後(日系ブラジル人で、ブラジルではペレの後継者といわれたリベリーノとポジション争いをしたほどの名選手)の話しを聞いたことがあるのですが、やはり「全国大会」などは、ブラジルでは考えられないといっていました。
1日で終わるような、地域のチームを集めたプライベートな大会(集まるチームは毎回ちょっとずつ変わるらしい)を月に2~3回くらいのペースで行うそうです。

また、低年齢(小学生期)からトーナメント戦を行う事も考えられないそうです。
当然ながら、トーナメント戦では負けたらお終い…したがって「負けないサッカー」になってしまうのです。
それは「遊び心」「創造性」といった事とは縁遠いサッカー…
そう、これこそが今の日本の状況なのではないのでしょうか?
「全日本少年サッカー大会」を思い切って廃止してしまうというのも一案だと思いますし、実際そう唱えている指導者も多いと聞きますが…

さて、話しをレアル戦に戻すと…
今日のゲームは、やっぱりロナウドでしょう!
太めの身体のため、タテへのスピードは全盛期と比べると見る影もありませんが、その分「巧さ」で見せてくれました。
やはり、「速い」だけではなく、「巧さ」も併せ持っていてこそのスーパースターだと再認識しました。
同じブラジル人のロベルト・カルロスは、「速さ」と「力強さ」…ボールを止める、蹴るなどの技術は高いのですが、「巧さ」はイマイチでした。
同サイドのハーフのソラリとともに、左サイドは崩壊寸前でした…

そして、ベッカムのサッカーは…
「可もなく不可もなく」といった所でしょうか。
サイドだけでなく、センターポジションもこなせる事を示したし、レアルの中短距離が主体のパス回しのサッカーにもそれなりに対応していました。
フリーキックは、ベストキックではないと思われるものの、ゴールを割りました。
相手のレベルが低い事を考えても、十分に戦力となっていたと思います。
今後の活躍で、「経済効果だけで獲得した」という妬みの報道をぶっ飛ばしてもらいたいものです。

がんばれ!サッカー選手ベッカム!