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2006年7月18日火曜日

中田英寿引退特番

先日放送された「中田英寿引退特番」(番組タイトルは違ったかも?)を見ました。
普段自分が考えているようなことと同じようなことをいっているのを聞き、ちょっと安心すると同時に、自分に厳しく行動するナカータと自分との違いに恥ずかしくもなったりしました…が、理路整然と自分の考えをストレートに話すナカータに知性と人間的魅力を感じると同時に、番組内に登場してきた現代表選手達のコメントは、いかにもテレビ向けの模範解答という感じで、何とも薄っぺらい感じがしました。
この辺にも、ナカータと現代表メンバーとの「ミゾ」が表れているのかなとも思いました。

自分の考えをストレートに他人にぶつけて(ぶつけ合うことを望んでいるのだと思いますが)ものごとを良い方向に持っていこうとするナカータと、ガチンコの話し合いを避けたくて仕方がない他のメンバー達。(あくまで想像ですが)
ナカータがウザがられるのは、当然の結果だったのかと思いました。
どうやら、現代表のメンバーのほとんどは他人に意見されることが大嫌いなようです。
トルシエの独裁体制に嫌気をさし、日韓W杯のチームに覇気がなかったのは、そのせいだったのかとも想像してしまいます。
ジーコ体制になったとたん、「ガミガミ言うのがトルシエからヒデさんに変わっただけじゃん…」とカゲでぼそっと囁く選手もいたとかいないとか…
自分の意見を言うことは出来ない上、相手と議論を交わすことは避けるけど、自分に意見する相手に対しては不快感を示す…
腐りきった選手達というような気がしますが、実はこれが日本人の大多数の姿だとも思います。
そういった意味で、ナカータはやっぱり日本人離れしていたのでしょうか。
不満があってもとソッと胸の内にしまい込むのが、日本人の美しい所だと思われている節もあります。
武士の姿として思い浮かぶのは「黙して語らず」という様な雰囲気です。
でも、今の日本人と武士道の世界に生きてきた日本人と明らかに違うのは、「自分」というモノを強く持っているかどうかだと思います。
言葉で多くを語らないぶん、行動で示していたのではないかと勝手に想像してみますが、どうでしょう?
武士道の時代まで逆行しなくても、「大和魂」を持っていた日本人もちょっと前まではたくさんいたのではないかと思うのですが…
長嶋茂雄も、天才とか天性の明るさを持った選手と言われていましたが、凄まじいほどの練習量がミスターを支えていたというのは周知の事実です。
輪島功一やガッツ石松と言った、今ではバラエティで活躍しているボクサータレントも、科学的トレーニングの確立されていない時代ではありましたが、強い意志と地道な努力がその裏付けとなって日本中を感動させるような選手になったのでしょう。
現在の日本人は、ただトラブルになるのを避け、表面上の薄っぺらい付き合いが上手くいけば良いという感じなのではないでしょうか。
今では、同じくボクシングの亀田三兄弟が話題になっています。
厳しいトレーニングを積んでいるという点は認めますが、対戦相手を尊重するという、人として基本的な部分が欠落している(演出だという話しもありますが、見ていて不快になります)上、あまりに品が無さすぎる「選手」としては最低な人間を持ち上げる周囲の体制に辟易してしまいます。
ナカータの場合も、自分に非常に厳しいという点が似ているような気がします。
試合後のロッカールームで、足首をボッコリ腫らしていたナカータに「何だ、その足!ヒデ、痛くナイのかよ!!」と驚いてきいた選手がいたそうです。
ナカータは「痛いに決まってるじゃん!」とサラッと言ってサッサと着替えて帰って行ったそうです。
後日談として「痛いとか、疲れたとか、そういった弱い部分はぜったいに相手に見せたくない」と言っていたそうです。
ユース代表として招集された時も、その当時はパッとしない選手だったと、当時の監督だった人から聞いています。(ただ、身体能力はズバ抜けていたようです)
しかし、練習に取り組む姿勢や物事を吸収しようとする姿勢は、際立って目立っていたそうです。
誰もが分かっているけど、実際にやるのは難しい、きっちり練習するという事をナカータは中学生くらいの頃から彼の武器である「強い意志」を持って遂行していたのでしょう。
今回の引退も、絶対に早すぎると思いますが、高校生(中学かも?)の頃から「計画」してきた彼のスケジュール通りなのでしょう。
自分の立てた目標に対して、絶対に妥協することなく、強い意志を持って突き進んできたナカータだからこそ、今のナカータがあったのだと思いますし、それを曲げるのはナカータらしくないのかもしれません。
でも、サッカーは選手として第一線でプレーしている時が一番楽しいし、輝いていられるのです。
プレースタイルは好きな部類ではありませんが、引退の撤回も期待してしまいます。
子ども達の手本となるべき選手は、なるべく長くプレーしてその姿を子ども達に見せるべきだと思うのです。
まぁ、周囲の日本人選手にとっては恐ろしく付き合いにくい存在なんだろうけど…
それにしても、前から思っていたのですが、今の日本人のメンタリティーや文化背景から考えると、日本人はサッカーに向いていないのかもしれません。
ちょっと悲しくなりました…